共益性が高いとダメなの?
「あー、これはマズイですね、共益性が高すぎます。もっと公益性が高くないとNPO法人にはできませんよ」
NPO法人の設立認証について所轄庁に行くと、このような指導を受けることがあります。
共益性・・・? 公益性・・・?
それって、どう違うの?
分かりにくいですよね。
正直に言うと、僕も最初はよく分かっていませんでした。
しかし、これらの違いはNPO法人を設立する上でとても重要な要素になるのです。
公益と共益について
まずは法律から見てみましょう。
「特定非営利活動法人」とは、特定非営利活動を行うことを主たる目的とし、・・・(特定非営利活動促進法第2条第2項より)
という記述から、NPO法人は「特定非営利活動」をするものだとされています。
すると
「特定非営利活動ってなんだ?」
という疑問がわきます。
それも法律に回答があります。
「特定非営利活動」とは、別表に掲げる活動に該当する活動であって、不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与することを目的とするもの(特定非営利活動促進法第2条第1項より)
この「不特定多数」の利益というのが、公益なのです。
NPO法人は公益のための活動を行うものであると法律で定められているので、公益性のない活動ではNPO法人は作れないということですね。
では、共益とは何でしょうか?
共益とは、仲間の利益のことであり、公益ほど広い範囲の人々の利益をさすものではありません。
例えば・・・
「このNPO法人では、この法人の社員に対して◯◯事業を行いますよ!」
と謳ってしまうと、共益性が高くてダメ!って指導されてしまうんです。
「この法人では、全ての市民に対して◯◯事業を行います」
こういう方がいいということですね。
だた、共益と公益の境目は結構微妙であることも多く、やはり所轄庁としっかり意思疎通をしておくのが望ましいです。
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