Google Ad Grantsのすすめ

NPO法人ならAd Grantsは『利用し得』!しかしフル活用するには努力あるのみ

Google Ad Grantsのすすめ

 

Google Ad Grants(アドグランツ)をご存知でしょうか。
アドグランツはgoogleが提供する非営利団体向けのウェブ広告助成プログラムです。
(公式サイトはこちらから
「非営利団体なら、google検索に掲載する広告の費用を助成するよ」ってことですね。

 

さて、驚くべきはその最大助成額です。
なんと、毎月1万米ドル!
為替の影響はありますが、現状では毎月100万円以上と言っても差し支えないでしょう。
とんでもない額ですね・・・

 

「そんなこと言っても、採択されなかったら意味ないでしょ」
こんな風に思った方も、もしかしたらいらっしゃるかも知れませんね。

 

大丈夫です。
そもそもアドグランツには「応募からの採択」というものがありません。
条件を満たした法人が申請すれば、もれなく登録されるのです。
(少なくとも僕はアドグランツに登録を弾かれたという話を聞いたことがありません)

 

すごいですよね。
すごすぎて裏があるんじゃないかと勘ぐってしまいますよね。
その懸念は、ある程度当たっていると思います。

 

「裏がある」というより、「美味しいことばかりではない」と言ったほうが正確かもしれません。
アドグランツは確かに有益なプログラムなのですが、これをフルに活用していくためには、結構なハードルを超えていく必要があるのです・・・

 

ここでは、そのハードルを紹介していこうと思います。

 

ハードル1 アドグランツへの参加申請が意外と面倒

 

アドグランツに興味を持って、参加のための要件を隅々まで見てみると
まずはGoogle for Nonprofitsに登録してください」
と書いています。
ふむ、先に登録しておくプログラムがあるのか、と思ってNonprofitsのホームページに行くと

 

まずはテックスープジャパンに登録してください」
たらい回しかーい!と突っ込みたくなることが書いています。

 

テックスープの登録では、申請書を書いて、法人印を押して、要項を確認しつつ添付書類をつけて・・・・(送信先は日本NPOセンターという所です、もう訳がわからなくなりそうですね)
なんだかもう一度設立手続きをしているような気分になります。
適当にやってるとウッカリ踏んでしまいそうな、地雷のような注意点もあるので侮れません。

 

特に注意が必要なのはメールアドレスです。
テックスープに届けたメールアドレスはそのままnonprofis→アドグランツに連鎖して紐づけされます。
アドグランツアカウントは特殊なアカウントなので、既存のメルアドやアカウントを使うと少し面倒なことになりかねません。
Googleアカウントをアドグランツ用に新しく作って、その新しいGmailアドレスをテックスープに登録すると無難です。
本当に無難でおすすめです。

 

そしてテックスープで発行されたトークンという謎の文字列を引っさげNonprofitsに登録し、ようやく・・・準備完了です。
(なお、当事務所で設立をされた方には、ここまでの申請を無料で代行するサービスを実施しています。お気軽にお問い合わせください)

 

「よーし、アドグランツの登録も終わったし、早速100万円分広告打ってやるぜ!」
と、意気込んで利用を開始すると・・・

 

「・・・あれ? あんまり広告表示されていない・・・」
第2のハードルに遭遇します。

 

ハードル2 広告を表示させるのは楽ではない

 

アドグランツに限らず、そもそもGoogle広告は「表示させるだけでも少し大変」です。
検索者が検索をかけたキーワードと、ホームページの内容がある程度合致していなければ、そもそも広告の承認すら下りません。
承認されても、コンテンツの量が不十分であったり、品質が低かったりすると、やはり表示されにくくなってしまいます。
ですので、まずは十分な量の独自コンテンツを準備しましょう。
もともとNPOの活動は、社会福祉制度が行き届かない隙間をフォローするニッチな事業であることが多く、事業の内容が大手コンテンツと重複しにくいので、その気になりさえすれば独自性の高いコンテンツをどんどん生み出せるはずです。
千里の道も一歩から、コツコツと品質の良い記事を積み重ねていきましょう。

 

「・・・よし、コンテンツも充実してきたし、品質評価も上がってきた。表示も増えてきたよ」

 

順調に行っているところに、第3のハードルが待ち構えます。

 

ハードル3 クリック率5%の壁

 

最大の関門です。

 

アドグランツには「アカウント全体のクリック率を5%以上にしなければならない」というルールがあり、守れないと予告なくアカウント停止になる場合があります。
広告が20人に表示されたなら1人以上は押さないといけないってことですね。
「なんだ、そのくらい簡単に押されるだろう」と思うかもしれませんが、意外と広告って押されないのです。
検索キーワードを洗練していって、広告を表示させるターゲットを絞りに絞って、それでようやく5〜8%というラインです。

 

ここにジレンマがあります。
「自分たちのホームページや活動を、まだ関心のない人に見てもらいたい」という願望があるのに、関心が薄いひとに広告を表示させるとクリックされにくくクリック率が低下してしまうのです。
とはいえ、このジレンマの解決方法は非常に難しいので、まずは絞り込みを徹底して5%を死守するのが第一でしょう。
即効性の高い対策は、成績の思わしくないキーワードを停止しつつ「除外キーワード」に設定することですね。
他にも、メインターゲットの年齢や性別が明確であるなら、オーディエンス設定で他の対象を除外するのも一つの方法です。

 

5%が安定してきたら、さらに露出の拡大するためにキーワードを増やすこともあると思いますが、その度に5%との戦いが起こります。
閲覧者の求めるコンテンツをより充実させる・ターゲットにもっと突き刺さるキャッチコピーの探求・・・いずれも一朝一夕で得られるものではないので、地道にPDCAを回すしかありません。
あるいは常にニュースにアンテナを張っておき、何かしら事件や社会現象が話題になったら自分たちの活動がその解決のためにできることを即座にホームページにまとめて広告を打ち、最大瞬間風速的に寄附を集める・・・などの手段もあります。
いずれにせよ、ウェブ担当者を始めとして法人関係者の継続的労力が必要になってしまいます。

 

無理にターゲットの拡大を目指さないというのも重要な選択肢の一つです。
自分たちが本当に訴えたいターゲットにさえリーチできれば十分だという考えで、理にかなっていると言えます。
確かに100万円まで助成されるので、できるだけ使わないともったいない気もしますが、大変な苦労をしてまで無理に使い切ろうとする必要もないのです。
必要なターゲットにだけシッカリと広告する・・・ある意味最もPPCらしい活用方法です。
商品やサービスに対してきっちり対価を受け取る「事業型NPO法人」には特にお勧めの選択肢です。
このタイプのNPO法人はターゲットが絞り込まれているので、需要のある顧客層に狙いを絞って広告を打つことでクリック率5%を達成しやすく、その後の成約によって収益を上げることができるはずです。

 

なお、5%のクリック率管理をしなくて済む方法もあります。
アドグランツ登録申請時に初期設定をしたAdwords Expressをそのまま使っていれば良いのです
(現在、Adwords ExpressはGoogle広告に統合され、「スマートキャンペーン」と表示されています)
Adwords Expressは設定できる項目が少なく、かゆいところに手が届かないのがデメリットですが、逆に言うと気軽に始めやすく、また5%の条件がAdwords Expressだと除外されているというメリットもあるのです。
管理はGoogleのAIが勝手にしてくれますので、初期設定をしたら月に最低一回はログインして調整しつつ、基本的に放置でOKなので楽です・・・が、たまにAIがまともに動いてくれなくて広告が始まらず、サポセンの人にも「何で動かないかわからない」とか言われることもあったりする欠点もあります。

 

 

まとめ

 

以上のように、アドグランツには

 

そもそも登録が面倒
広告を表示させるのも一苦労
クリック率5%の壁

 

というハードルがあり、ちょっと気圧されそうになりますが、無理に100万円を使い切ろうとしなければ、それほど問題なく無料で広告を出すことができますので、まさに『利用し得』です!
また、Adwords Express(スマートキャンペーン)なら5%の管理が不要になり、ますます気楽に利用できます。(AIの挙動が少しおかしい場合もありますが・・・)
もちろん、ホームページに自信のある法人なら、100万の限度額に挑むのも素晴らしいと思います。
5%条件との戦いがあるとはいえ、毎月100万円という破格の限度額は・・・やはり魅力的でロマンにあふれています。

 

あなたの法人のスタイルに合わせて、それぞれのアドグランツ活用法を見つけてほしいと願っております。

 

 

なお、この解説ではアドグランツで遵守するべき全てのポリシーに触れているわけではなく、むしろ触れていない方が多いので、ご利用の際はポリシーをしっかりと確認し、違反しないように注意しましょう。

 

アドグランツ プログラムポリシー

 

 

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