NPO法人の会計処理でこれだけはやっておくべき1つのこと
いよいよ法人が成立して、念願の事業を開始できるわけですが、忘れてはならないことがあります。
それは、「決算」です。
NPO法人は毎事業年度終了後3ヶ月以内に事業報告書や決算書類を提出する義務があります。
そのためには、適切な会計処理を行う必要があります。
なお、NPO法人用に「NPO法人会計基準」というものが定められており、基本的にはこの基準に基づいて会計処理を行うことが推奨されます。
そして、この会計基準はウェブ上で無料で入手することができます。(書籍もあります)
非常にわかりやすくまとめられているのですが、ただ・・・一度に全部を把握するのは難しいほどの情報量です。
「ええ・・・忙しい中で、これを全部読むのはちょっと・・・」という人もいらっしゃると思います。
そこで、忙しい人のために、これだけはやっておくべきことを1つだけお伝えしておきたいと思います。
それは・・・
『領収書を事業ごとに分けておく』
これが一番重要です。
NPO法人会計基準の最大の狙いは「情報公開をすることで市民が法人の活動をチェックする」ことです。
そのためには、経費がどの事業にどれだけ使われたのかを把握する必要があります。
NPO法人会計基準ではこの点を踏まえ、事業ごとに経費を細かく分けることを求めています。
例えば、「スポーツ教室の運営」と、「スポーツの大会開催」の2事業を行っている法人があるとします。
これらの事業を行うために
教室の講師への謝礼金 計20万円
消耗品費 計30万円
大会の告知費用 計5万円
これらを支出したとします。
このような場合は、上記のように合計額を記載するだけではなく・・・
科目名 | スポーツ教室の運営事業 | スポーツの大会開催事業 |
---|---|---|
諸謝金 | 200,000 | 0 |
消耗品費 | 100,000 | 200,000 |
広告宣伝費 | 0 | 50,000 |
このように、事業ごとに分けた金額を注記に記載することが推奨されます。
このことを知らずに決算期を迎え、バタバタと領収書を引っ張り出してみたはいいものの
「あれ・・・この経費ってどっちの事業で使ったんだっけ?」
となってしまったら、目も当てられないです。
ぜひ、領収書を事業ごとに分けておきましょう!
ちなみに、経費だけではなく、収益に関しても事業ごとに分けることが望ましいです。
通帳に収益が振り込まれた場合には、それがどの事業によるのかを欄の横に小さくメモしておく等しておくと良いと思います。
とりあえず、これだけ覚えておけば、決算期まで時間稼ぎをすることができますので、時間がある時に改めてNPO法人会計基準を読んで決算期に備えれば大丈夫です。
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