事業費と管理費について
NPO会計基準で経費をまとめようとした時に、「事業費」と「管理費」という2つの区分があることに気づかれた方もいると思います。
その名前からなんとなく意味を察することはできそうですが、せっかくですので定義をシッカリ確認していきましょう。
事業費とは・・・
NPO法人が目的とする事業を行うために『直接』要する人件費及びその他経費
とされています。
例えば、福祉施設への募金を募るイベントを開催した場合に、そのイベントを行うためのスタッフに支出した人件費や、会場を借りた場合は会場費、グッズを販売した場合はその売上原価、講師を呼んでスピーチをしてもらったのであればその謝金などなど・・・ 告知を有料で行った場合は、宣伝広告費も入るでしょう。
このように、その事業を行うために直接支出した費用は「事業費」です。
一方、管理費とは・・・
NPO法人の各種の事業を管理するための費用
とされています。
やや抽象的ですね。具体的には・・・
社員総会や理事会の開催運営費、法人のホームページの運営費、法人事務所の賃借料や水道光熱費、事務局の職員がいればその人件費などです。
イメージとしては、「事業に直接関係はないけれど、法人の運営をしていくためには不可欠になってくる費用」ですね。
「・・・うちの法人は、事務所でちょっとしたイベントを開催したりするんだけど、こういう時の賃料って事業費?管理費?」
こんなケースもあると思いますが、このように明確に事業費と管理費を分けられない場合は、按分をすることになります。
例えば、事務所の半分で管理事務、半分でイベントを行う場合は、面積の割合によって賃料を半々に按分します。
他にも従事者の割合、従事時間の割合など、按分には様々な方法がありますので、法人の活動実態に合わせて合理的な方法を採用します。
さて最後に「なぜ、このような区分があるのか」について触れておこうと思います。
NPO法人は定款に定める目的を達成するために各種事業を行いますが、時間経過とともに次第にモチベーションが低下していくなどして、残念ながら現在は活動がほとんど見られないような法人も存在します。
このような法人では、事業を行っていないため事業費が非常に少なくなりますが、NPO法人である以上、事務所を維持したり通常総会や各種手続きは必ず行わなければならないため、管理費はそのまま維持されることが多いです。
その結果、事業費と比べて管理費のほうが多くなってしまうということが起こりえます。
こうなると、所轄庁から指導が入ることが多いです。
もちろん所轄庁からだけではなく、会員や寄付者、その他の市民から指摘されることも十分に考えられます。
このように、事業費と管理費は、その割合を見ることで法人の活動実態をひと目で判断するための指針として用いられるのです。
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