学校の一部授業をNPO等が受け入れる流れ

小中学校の「総合的な学習の時間」について


2018年10月1日、文部科学省から小中学校の一部の授業をNPO等が受け入れるという案が出されました。

 

文部科学省は1日、教科横断のテーマを扱う小中学校の「総合的な学習の時間」について、週末や夏休みを利用して校外学習を推進する案を中央教育審議会の教育課程部会に示した。指導上の目標が適切で、校外のNPO法人など児童生徒の受け入れ先との連携体制が十分取れていれば、年間授業数(70コマ)の4分の1程度まで認め、教員が引率しなくてもよいとする。

 

教員の長時間労働を避けつつ、多様な体験を通して児童生徒により豊かに学んでもらう狙い。教員の目が届かなくなる可能性もあり、授業の質の担保や安全確保などの課題をクリアする必要もある。

 

文科省は早ければ来春からこうした方針を適用する方針で、近く教育委員会に通知する。

 

文科省によると、受け入れ先はNPOや公共施設、企業などを想定。年18コマ程度まで、校外で生徒自身が物事を調べたり、職場体験をしたりしてもらい、土日や夏休みでも正式な授業とする。

 

これまでも外部と連携した校外学習は平日に実施されていたが、条件が明確でないため限定的だったという。

 

2020年度に実施される小学校の次期学習指導要領では、外国語活動を3、4年生から導入し、5、6年生では英語を教科化する。授業数は増加することになり、文科省は、平日の総合学習を土日などに回すことで、英語の授業時間を余裕を持って確保できるようになるとみている。〔共同〕

日本経済新聞2018年10月2日記事より引用

 

教育の現場は本当に人手不足が深刻なようですね・・・
文部科学省の実態調査によると、小中学校の教諭の一日あたり勤務時間は11時間を超えているようで、かなり過酷な就労環境だと言えます。

その割に「総合的な学習の時間」等、時代の流れを追うための授業が新たに追加されていくので、現場の負担は増すばかり。
これじゃいかん、パンクしてしまう・・・ ということで、外部に頼めるものは外部に頼もう、という流れになったのでしょうね。

 

全国の小学校が2万校、中学校が1万校として、各校学年ごとに一括して授業すると仮定した場合・・・・・・・ざっくり262万コマの授業が外部に任される可能性があるということですね。(学級ごとに授業すると、さらに4倍くらいでしょうか)
もちろん限界いっぱいまで外部に任されるわけではないでしょうが、それでもとんでもない規模になりそうです。

 

教育に興味のある人は、NPO法人を設立して備えておくと、これに参画できるかもしれませんね。

 

学校の一部授業をNPO等が受け入れる流れ
教育の現場にいた人からよく聞く話ですが、教育以外のことに忙殺されてしまい、教員として本当にやりたかったことは現場ではできなかった、という残念な話があります。
そのような志半ばで現役から退いてしまった元教員のような方にも、外部の援助要員として教育に携わる機会が増えるとしたら、それは素晴らしいことだと思います。

 

NPO法人は元々行政のサービスが行き届かないところに細やかなサービスを提供することを期待されている面があり、今回のケースなどはまさにNPO法人にうってつけの事業と言えるのではないでしょうか。
今後もこの流れから目が離せません。

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